子どもが片づけたくなる部屋のつくり方
「ちゃんと片づけなさい!」では片づかないわけ
「ちゃんと片づけなさい!」この言葉をよく聞きますよね。子どもに言った経験のある方も多いことでしょう。しかしこの言葉、効果がないと思われる方も多いのではないでしょうか。その原因はこの言葉に隠されています。
「ちゃんと」はだれにとっての「ちゃんと」なのでしょう?どの状態が「ちゃんと」なのでしょうか? また「片づけて」とはどうすることを指すのでしょうか?ダイニングテーブルの上の工作道具をテーブルの端に寄せることでしょうか? それとも近くの棚に道具や作りかけの作品を置くことなのでしょうか? こう考えると、「ちゃんと」という状態のイメージには個人差があることがわかると思います。
子どもが片づけられない理由を知ろう!
子どもが片づけできないのには必ず理由があります。片づけ方がわからない、どの程度の状況が「ちゃんと」の状態なのかイメージできない。こうなると、どうやったらいいのかわからず、やる気もわかないのです。では、どのようにしたらよいのでしょうか?その解決法がわかると大人は気持ちが楽になり、子どもも片づけられることが楽しくなります。
モノの定位置をつくりましょう
片づけとは、モノの定位置が決まった状態から出してきたものを「もとに戻す」という単純作業。子どもが一人でもできる作業ですが、その前提となるモノの「定位置づくり」は親が一緒に取り組まなければなりません。その際に気をつけてほしいのが子どもにとっての片づけやすさです。
単・短・楽が定位置を決めるポイント!
モノの「定位置づくり」をする際のポイントは、使う人、つまり子どもにとって使うモノが取り出しやすく、戻しやすいこと。つまり単・短・楽であることです。
- 単・・・単純な動作で戻せること
- 短・・・短時間・短距離でできること
- 楽・・・楽しく・ラクな仕組みであること
この3つが大切です。リビングの一角に、遊ぶモノや本、勉強の道具などの「定位置づくり」をすることで、自分で戻しやすくなります
できたときこそ、声かけをしましょう!
子どもが一人で片づけができたときには「できた!」という実感を持たせると同時に、この状態が「ちゃんと片づけている」という状態であることを共有する絶好の機会です。「ちゃんとお片づけできたね!」と、できたときこそ声かけをしましょう!
また、「お部屋がきれいになると気持ちがいいね」、「ごはんがおいしく感じるね」など、よいイメージを共有しておくとよいですね。整った空間の心地よさや片づけのゴール設定が共有できると次回以降、子どもが一人でスムーズに片づけができると思います。
失敗も含めて経験することが大切
子どもにとって片づけは、成長するためのよい機会です。衣食住にまつわることを自分でできる子にしたいですよね。片づけを通じて子ども自身の力を育んでいきましょう。モノを片づけられないと、なくしものをしたり、忘れ物をしたり……。そういう失敗の経験があるからこそ、「次はきちんと片づけしよう!」と改善できたりします。「わが子には悲しい思いをさせたくない!」という思いから転ばぬ先の杖をたくさん用意している方もいるかもしれません。
しかし、子どもには片づけを通じて失敗する権利があり、またそこから学ぶ権利もあると思います。単に目の前をスッキリさせることが片づけではなく、子どもの判断する力や責任を持つ力などを育むのが本当の片づけで得られるものだと思います。まずは、子どもにとって片づけしやすい仕組みを親子で一緒につくり、「片づけできた!」ことを楽しむことからはじめてみましょう!
高校生と中学生と小学生の3児の母。(社)サスティナブルライフ協会代表理事。(社)ハウスキーピング協会 整理収納コンサルタント。(社)親・子の片づけ教育研究所 マスターインストラクター。認定子育てハッピーアドバイザー。その他建築関係の資格も所有(二級建築士、インテリアコーディネーター他)。著書に『子どもが片づけしたくなる104のアイディア』(文化出版局)など。