「長期優良住宅」ってなに?メリットと認定条件

「長期優良住宅」とはどんな住宅なの?
住宅を建てるとき、「長く快適に住める家を建てたい」と思う方は多いのではないでしょうか。そこで注目されているのが「長期優良住宅(ちょうきゆうりょうじゅうたく)」です。これは、国が定める基準を満たした「長く良い状態で住み続けられる家」に認定される住宅のこと。耐震性や省エネ性、メンテナンスのしやすさなど、さまざまな面で優れた性能を持ち、税制やローン面でも多くのメリットが受けられます。本記事では、「長期優良住宅」とはどんな住宅なのか、そのメリットや認定条件、申請方法までわかりやすく解説します。
長期優良住宅とは?その基本を解説
長期優良住宅の定義
「長期優良住宅」とは、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」として、所管行政庁の認定を受けた住宅のことを指します。2009年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(通称:長期優良住宅法)」に基づいて制度化されました。
この制度の目的は、スクラップ&ビルド型の住宅消費からの脱却。つまり、短期間で建て替えるのではなく、性能の高い住宅に長く住むことを促進することにより、環境負荷の軽減や資産価値の維持を図るものです。
長期優良住宅の主なメリット
税制優遇措置を受けられる
長期優良住宅に認定されると、以下のような税制上の優遇措置が受けられます(2025年6月時点の制度)。
- 住宅ローン控除の上限額が引き上げられる
- 固定資産税の減額期間が延長される(新築の場合: 通常3年 5年)
- 登録免許税の軽減
- 不動産取得税の軽減
税制優遇は年度によって変動するため、最新の情報は自治体または国税庁の情報を確認してください。
資産価値が高く維持されやすい
長期優良住宅は設計段階から高い性能基準を満たしており、将来的にも評価されやすい住宅です。中古住宅市場でも高く評価される可能性があり、資産価値の維持に役立ちます。
安心・快適な暮らしが実現できる
耐震性や省エネルギー性、劣化対策などに優れており、長く安全に、快適に住み続けられる住宅となっています。日々の暮らしに安心感があるのも大きな魅力です。
メンテナンスがしやすい
「維持管理・更新の容易性」も認定条件の一つであり、将来的な修繕計画が立てやすい点もポイント。建物の設計段階から配管・構造などのメンテナンス性を考慮されているため、長期的な維持コストを抑えることができます。
長期優良住宅の認定条件とは?
長期優良住宅に認定されるためには、以下のような国が定める技術基準を満たす必要があります(主な基準を抜粋してご紹介します)。
- 劣化対策
- 構造躯体が100年以上使用できる措置が講じられていること。たとえば、耐久性の高い木材の使用、防腐・防蟻処理などが求められます。
- 耐震性
- 建築基準法に定める**耐震等級2以上(災害拠点レベル)**が必要です。大地震でも倒壊しないことを想定しています。
- 省エネルギー性
- 断熱性能・設備機器の効率化などにより、省エネ基準以上の性能を確保する必要があります。地域区分によって求められる断熱性能が異なります。
- 維持管理・更新の容易性
- 配管や設備が点検・交換しやすく、建物を壊さずにメンテナンスできる設計が求められます。
- 居住環境
- 良好な居住環境を形成する地域内での建築であることが求められます。たとえば、周辺との調和や日当たり、騒音対策など。
- 可変性 (※共同住宅の場合)
- 将来のライフスタイルの変化に対応できるよう、間取りの変更が可能な構造となっていること。
- バリアフリー性 (努力義務)
- 高齢者等が快適に住めるように段差のない設計などが推奨されています。
長期優良住宅の申請方法と流れ
ステップ1: 設計段階で基準に合わせて計画
まずは、長期優良住宅の基準に適合した設計を建築士に依頼します。設計図や構造計算書、省エネ計算などが必要です。
ステップ2: 申請書類の準備と提出
建築確認申請とあわせて、長期優良住宅の認定申請書を**所管行政庁(市区町村など)**に提出します。
必要書類の例
- 設計内容説明書
- 各種計算書(構造・断熱など)
- 維持保全計画書 など
ステップ3: 認定取得後に建築確認
認定が下りると「認定通知書」が交付され、それをもとに建築確認申請へ進みます。
注文住宅・建売住宅でも対応できる?
長期優良住宅に向いている人とは?
以下のような方に特におすすめです。
- 長く安心して住める家を建てたい
- 将来的な資産価値を重視したい
- ランニングコストや修繕費を抑えたい
- 税制優遇を受けながら住宅ローンを活用したい
- 環境への配慮や省エネ性能を重視したい

注意点とデメリット
初期コストが高めになる傾向
高性能な建材・設計が必要なため、一般的な住宅に比べて建築コストがやや上がる傾向があります。
手続きがやや複雑
認定を受けるためには、専門的な書類の提出や時間がかかるため、ハウスメーカーや建築士としっかり連携して進める必要があります。