建築士が教える「家づくりで最初に考えるべきこと」

後悔しない家づくりのスタートライン
マイホームを建てたい——そう思ったとき、まず何から始めればいいのでしょうか?「モデルハウスを見に行く?」「住宅ローンを調べる?」「土地を探す?」どれも大切ですが、実はそれより前に“必ず考えるべきこと”があります。本記事では、建築士の視点から、後悔しない家づくりのスタートラインをわかりやすく解説。どんな家に住みたいかを考える前に、まず「どんな暮らしをしたいか」に焦点を当て、理想と現実のバランスをどうとるかについても掘り下げていきます。
家づくりの第一歩は「暮らし方」の整理から
多くの人が家づくりを考え始めると、まず住宅展示場やモデルハウスに足を運びます。しかし、実際に間取りや設備を見る前にやるべきことがあります。それは**「自分たち家族がどんな暮らしをしたいのか」を具体的に言語化すること**です。
たとえば、「朝はどんなふうに支度する?」「週末はどこで過ごす?」「在宅ワークはある?」「子ども部屋は何歳から必要?」など、ライフスタイルを見つめ直すことが、理想の住まいの方向性を決める第一歩です。この段階を飛ばしてしまうと、間取りや設備が立派でも「住みにくい家」になってしまう可能性があります。
建築士が勧める「優先順位リスト」の作り方
希望をすべて詰め込むのは予算的にも現実的にも難しいのが家づくり。だからこそ、「譲れないこと」と「できれば叶えたいこと」を分けることが重要です。
以下のようなカテゴリごとにリストアップしてみましょう。
- 必須条件 (例: 子ども部屋2つ、駐車場2台分)
- 希望条件 (例: アイランドキッチン、広い玄関収納)
- あったら嬉しい条件 (例: 吹き抜け、趣味部屋)
こうすることで、建築士との打ち合わせがスムーズになり、予算や敷地条件に応じて柔軟な判断がしやすくなります。
土地選びと建物計画は“セット”で考える
「まず土地を買ってから家の設計を考える」という流れは、一見合理的に見えますが、実は建築士としてはおすすめできません。なぜなら、土地の形状や周辺環境によって、建てられる家の大きさや日当たり、駐車スペースなどが大きく変わるからです。
理想は、土地と建物を一緒に考えられる設計士や工務店に相談すること。例えば南道路の土地でも、家の配置によってはリビングに日が入らないこともあります。また、「旗竿地」や「変形地」など一見不利な土地も、設計次第で魅力的な住まいに変えられることもあります。
間取りやデザインは「生活動線」から逆算
人気のある間取りやオシャレなデザインに目を奪われがちですが、「動線設計」が住みやすさを左右します。たとえば——
- 玄関からリビングまで直線でつながるか?
- 洗濯・干す・たたむ・収納の流れがスムーズか?
- 朝のトイレや洗面所の混雑を避けられる動線になっているか?
建築士は、家族構成やライフスタイルに応じて、こうした生活動線をプランに落とし込みます。間取り図だけでなく、1日の生活の流れをイメージしながら設計を進めましょう。
資金計画は“理想の暮らし”を守るための土台
家づくりでは、「いくら借りられるか」ではなく、「無理なく返せる金額」を基準に資金計画を立てることが大切です。そのためには——
- 月々の返済額を家計に合わせて設定
- 建物本体価格以外の「諸費用」を把握
- 外構や家具・家電の予算も含めて計算
家づくりではつい、「今しかできないから」と予算オーバーになりがちです。しかし、無理な住宅ローンは生活の質を下げ、せっかくの理想の家を楽しめなくなってしまいます。
家づくりを成功に導く「パートナー」の選び方
住宅会社・工務店・設計事務所など、家づくりのパートナー選びは、完成後の満足度を大きく左右します。ポイントは以下の通りです。
- こちらの話をよく聞いてくれるか?
- メリットだけでなく、リスクも説明してくれるか?
- 施工事例やプラン提案の質はどうか?
信頼できるパートナーと出会うには、2〜3社を比較検討し、見積もりや提案内容を丁寧に比較することが重要です。建築士と直接話せる環境があると、設計面での自由度も高まります。
家づくりを成功させる第一歩は、「何から始めればいいか」を明確にすることです。
- 暮らし方を見つめ直し
- 優先順位を明確にし
- 土地と建物をセットで考え
- 生活動線を意識し
- 無理のない資金計画を立て
- 信頼できるパートナーを見つける