「捨てること」で手に入るもの。収納場所はどう決める?暮らしやすい空間とは
使わないけど、捨てられないモノ
整理収納アドバイザーという仕事をしていると、お客様に「捨てなきゃいけないんですよね」と恐る恐る尋ねられる、という場面によく遭遇します。私たちの仕事は、お客様にモノを捨てさせることではなく、暮らしやすい空間をおつくりすること、「捨てる」はそのひとつの手段に過ぎません。今回は、この「捨てる」について考えてみましょう。
なぜ使わないモノ・そんなに大切でないモノを持っているのはよくないとされるのでしょうか?それは、「使っているモノ・大切なモノが埋もれてしまうから」だと私は思います。
たとえば、2階の納戸の奥に「一応とってある」学生時代の教科書のダンボール。もう10年は開けていないけれど、専門的なことを調べたくなったときに見ることがあるかもしれない。そう思うと捨てられない……。そういうモノ、みなさんも心当たりがありませんか?
手放したら、どんないいことがある?
使わないモノは絶対捨てるべきだ!と私は言いたいのではありません。貴重な収納スペース、もしそのダンボールがなくなったら、どんないいことがあるかな?と思い描いてみてほしいのです。
2階の納戸にスペースができる ⇒ リビングの物入れに収納している扇風機をこちらに移動してもいいかな ⇒ リビングの物入れの空いたスペースを、床のあちこちに散らばっている家族のかばん置き場に!
すると、リビングをよりすっきり広々と使うことができますよね。2階の納戸に置きっぱなしのモノを手放すことで、巡り巡ってリビングの床やテーブルに出しっぱなしのモノを取り出しやすく、ゆったりと収納できるようになるのです。
ポイントは「押し出し方式」!
ただし、実際の整理収納作業の進め方のおすすめは「押し出し方式」です。
よし、まず納戸や押入れを整理してスペースを空けよう! とひとりで大きな場所の整理から取りかかると、終わる気がしなくて心が折れてしまいます。まず、リビングやキッチン、クローゼットの使いやすいところを見てみましょう。「こんないい場所に置かなくていいかな?」という使用頻度が低いモノを押し出してすっきりさせ、それらを押し入れや納戸など(使いやすさが落ちる場所)に移動します。
使いやすい、いい場所にある「使っていないモノ」を押し出してから、使いにくい場所にあるモノを処分する。この順番がいいですね。
手放す手段は「捨てる」だけではない
「すっきりとした空間で暮らしたい」という気持ちと、「いつか使うかも……」の気持ち、どちらが自分の中で大きいかを冷静に考えて、捨てるかどうか、を考えてみるといいかもしれません。捨てることは強制ではありません。あくまでも選択肢のひとつだということをお忘れなく。
また、手放す手段は「捨てる」だけではありません。誰か使ってくれる人に譲ることができれば、そのほうがずっといいですよね。
うちの子はもう使ってないけれど、捨てるのはもったいない……。そんなおもちゃがあったら、新しい持ち主に送り出しませんか?こどもも誰かが使ってくれると思うと手放しやすくなるようです。栃木県の有志の整理アドバイザーの集まる「トチカタ」では、今年で4回目になる「おもちゃ交換会」を12月26日に宇都宮市、佐野市で同時開催します。くわしくはトチカタHPをご覧ください!
整理収納アドバイザー1級。インテリアコーディネーター。「おうちを心地よい空間に」を活動の軸として、個人宅での整理収納レクチャー、新築時の収納計画などの依頼を受けている。
◎片付け相談所かげいろ: https://kageiro.com
◎栃木県の有志の整理収納アドバイザーの集まり「トチカタ」: http://tochikata.info/