夫婦ふたりの暮らしに合ったあたたかな住まい
婦二人の暮らしにちょうどいい住まいをつくられたK様。個室は最小限に、ゆったりとした間取りを望まれました。薪ストーブのあるリビングは、冷たい風が吹く夜も、あたたかなぬくもりで包まれて、二人の時間がゆっくりと流れていきます。
京町家のような光と風が抜ける家がほしかったんです
宇都宮市の中心地から北東へ向かった田園地帯近くの分譲地に、K様のお宅はありました。分譲地といっても一軒一軒がゆったりとした敷地に建ち、隣家とはほどよい距離があり、日当たりも申し分ありません。幹線道路が近いものの、周囲は静かで、のどかな環境です。
この土地に住まいを建てられたのがK様ご夫妻。家づくりの当初は、建売物件も見学されましたが、自分たちの暮らしには合わなかったといいます。「夫婦二人だから部屋があまってしまうんですよね」。K様は夫婦二人の暮らしに合う住まいをつくるには注文住宅がよいだろうといくつかの建築会社にプランを依頼しました。そのなかで、K様の心を射止めたのは、中庭を囲むコの字型のプランを提案してくれた建築会社でした。
庭の真正面はちょうど廊下に当たりますが、じつはここがK様宅の住み心地のよさのキーワードでもあるのです。一見、無駄な空間に思えるような廊下ですが、ここはリビングや寝室など日常に使う空間と、客間兼奥様の趣味の着付け部屋とを結ぶ、母屋と離れをつなぐ渡り廊下のような役割を果たします。
廊下があることでK様のご実家の両親が宿泊される際も、着付けの勉強をされる際も生活空間を気にすることなく、過ごすことが可能となりました。
「もともと京町家のような奥まった感じの家が好きだったんです」と奥様。K様のお宅は和風建築ではありませんが、玄関から廊下を通ってリビングに入る動線や、中庭に面した開口面から光や風が通り抜ける間取りにとても惹かれたといいます。「建売だったらこんな無駄な間取りにはしないですよね」とK様は話しますが、このゆったりとした空間がご夫妻の暮らし方にはぴったりでした。
廊下の背面に当たる空間は広々とした洗面室+ランドリールーム、脱衣室、浴室、トイレが配置されています。この水まわりはキッチンから一直線でつながり、共働きのご夫妻にはたいへん便利な家事動線になりました。また、中庭に面した廊下は光と風を家に取り込んでくれます。K様宅は小窓や地窓が綿密に配置されており、暑い夏には家中に風を通し、寒い冬にはあたたかな日差しが入り、一年中、快適に過ごせるのです。
薪ストーブってほんとうにあたたかいんですよ
K様のリビングは別荘にいるかのようなくつろぎの空間。キャットウォークのある吹き抜けの空間は木のぬくもりでいっぱいです。
冬、その大空間を2階の寝室まであたためてくれるのが薪ストーブ。「じつはプランニングのときは薪ストーブは考えてなかったんですよ」とK様。建築会社の担当の方と話しているうちに、薪ストーブの魅力を知り、リビングの一角に薪ストーブを置くことに決めました。
薪ストーブの仕事はもっぱらK様が担当されるそうで、外で乾燥させた薪を数日分、室内に運び込むそうです。
夜、帰宅すると薪に火をつけ、何十分かおきに薪をくべていきます。「薪ストーブのあたたかさってやわらかいですよね。エアコンのあたたかい風とは全然違うんですよ」とK様。
自分たち夫婦に合ったちょうどいい住まいになりました
小上がりの和室はくつろぎの場
K様宅のリビングには小上がりの和室があります。ここはK様ご夫妻のお気に入りの場所で、夜、ご飯を食べたり、テレビを見たり、お酒を飲んだり、ゆっくり過ごすのが毎日の楽しみだそうです。
「座の空間が好きで、夜はここで過ごすことが多いんです」。小上がりの和室は、共働きで忙しいご夫妻のくつろぎの場となっています。「ここが夏はいちばん涼しくて気持ちがいいんですよ」。
この和室の南の間口と北の地窓を開けると、風がスーと抜けていきます。K様邸は外からの視線を遮りながらも光や風が十分に家の中に届く設計になっているのです。
それぞれの趣味を尊重した空間
2階の書斎、1階の客間兼着付けの部屋はそれぞれご夫妻の趣味の空間になっています。奥様はもともと古い文化がお好きで、着物にも興味があったそうですが、なかなか着付けを習うきっかけをつかめずにいたといいます。「震災後、やりたいことをやったほうがいいと思い立って勉強しました」とのこと。そんな奥様を応援して、家をつくるときには着付けの部屋を設けることにK様も賛同されたとか。
それぞれの暮らしを尊重して考えられた間取りは、ほかの規格住宅にはない、K様夫妻らしさにあふれたお住まいになりました。木のぬくもりあふれるあたたかな空間。ゆったりとした間取り。それはK様ご夫妻の暮らしに寄り添った日常のアイディアから生まれたようです。