親からの贈与で家を買うときの注意点【2025年版】

親からの贈与を利用する際のポイントとは
「親から家を買う資金を援助してもらった」「相続の前に贈与を受けて住宅を取得した」──こうしたケースは決して珍しくありません。特に近年は、住宅価格の高騰や住宅ローンの負担を軽減する目的で、親世代からの資金援助を活用してマイホームを手に入れる人が増えています。しかし、親からの贈与には税金や手続き、トラブル回避のための知識が必要不可欠です。本記事では、親からの贈与を利用して家を買う際に知っておきたい「税制上の優遇措置」「申告方法」「トラブル防止策」などを、2025年の最新情報をもとに詳しく解説します。
親からの贈与で家を買う人が増えている理由
近年、親からの贈与で住宅を購入するケースが増加しています。その背景には以下のような理由があります。
- 住宅価格の上昇により若年層単独での購入が難しい
- 相続税対策として生前贈与を選ぶ親が増加
- 贈与税の非課税制度が充実している(※後述)
- 住宅ローンの借入金額を抑えたいというニーズ
特に、都市部での不動産購入や注文住宅建築においては、親からの資金援助が家計の大きな支えとなっています。
贈与を受けて家を買う際にかかる税金とは?
親からの金銭的援助は、原則として「贈与税」の課税対象になります。贈与税とは、個人が他人(親や親族を含む)から一定額以上の財産を無償でもらったときに課される税金です。
- 基礎控除額: 年間110万円までは非課税
- 110万円を超える贈与には贈与税が発生
- 贈与税の税率は贈与額や関係性により異なる(10~55%)
したがって、住宅資金援助として1000万円や2000万円といったまとまった金額を受け取る場合、そのままだと高額な贈与税がかかってしまう恐れがあります。
【2025年最新版】 住宅取得等資金の贈与税非課税制度とは?
こうした贈与税の負担を軽減するために用意されているのが、「住宅取得等資金の贈与税非課税制度」です。2025年現在も制度は継続されており、以下のような条件で利用が可能です。
非課税枠 (2025年時点)
- 省エネ等住宅の場合: 最大1,000万円まで非課税
- それ以外の住宅: 最大500万円まで非課税
利用条件
- 受贈者(贈与を受ける人)が18歳以上
- 合計所得が2,000万円以下
- 取得する住宅に一定の要件あり(登記・床面積・工事着手日など)
- 贈与者は直系尊属(親や祖父母)
この制度を利用すれば、大きな金額の援助でも贈与税がゼロになる可能性があります。ただし、非課税制度を利用するには、期限内の「贈与税の申告」が必要です。
贈与税の非課税枠を使うときの注意点
制度を使ううえでの注意点は以下のとおりです。
- 必ず確定申告が必要(非課税でも申告しないと適用されない)
- 使途が明確でないと否認される可能性(住宅取得資金と明記された契約書・振込記録が必要)
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに申告
- 物件によっては対象外になるケースもある(中古住宅、親名義の家など)
特に、贈与と住宅購入のタイミングがずれていると非課税対象外になることがあるため、計画的なスケジューリングが重要です。
親からの贈与でよくあるトラブルと防止策
親からの援助はありがたい一方で、後々トラブルの原因になるケースもあります。たとえば ──
- 「あのとき援助した分は返してほしい」と言われる
- 兄弟間で不公平感が生じる
- 相続の際に遺産分割で揉める
防止策
- 金銭援助の「贈与契約書」を交わす(簡易なものでOK)
- 兄弟姉妹への説明・同意を得る
- 援助額を記録に残し、相続時に精算できるようにしておく
贈与ではなく「貸付」にする選択肢とは?
親からの資金援助は、あえて「贈与」ではなく「貸付」として取り扱う方法もあります。
「貸付」として扱うメリット
- 贈与税がかからない
- 相続時の不公平感を減らせる
注意点
- 借用書や返済計画を明確にしないと「贈与」と見なされる
- 利息の設定や返済の実態がないと税務署から指摘される可能性あり
実際には、名目は貸付でも実態が返済なし=贈与と認定されるケースが多いため、しっかりと証拠書類を整える必要があります。
不動産名義の扱い方と相続への影響
家の名義が誰になるかも重要なポイントです。
- 購入資金を全額親から出してもらった場合 → 親の名義にするのが原則
- 子名義にした場合 → 贈与として扱われる可能性大
- 共有名義にする場合 → 持ち分割合の根拠を明確に
また、名義の取り扱いは「相続トラブル」に直結するため、税理士や司法書士への事前相談をおすすめします。
専門家に相談すべきタイミング
以下のようなケースでは、専門家への相談が効果的です。
- 贈与税の申告のしかたが分からない
- 非課税制度を最大限活用したい
- 家の名義・ローンとのバランスを検討したい
- 将来の相続まで見据えてプランニングしたい
相談先の例
- 税理士: 贈与税の申告・税制相談
- 司法書士: 不動産登記・契約書作成
- ファイナンシャルプランナー(FP): 住宅購入の資金計画全般