親子リレーローンとは?仕組みと注意点を解説!メリット・デメリットなども
親子リレーローンについて
住宅購入を検討する際、年齢や収入によって「借入可能額が足りない」「返済期間が短くなる」といった悩みを抱える方は少なくありません。特に40代以降でマイホームを計画する場合、住宅ローンの返済期間が制限されるため、月々の負担が大きくなりがちです。そこで注目されているのが「親子リレーローン」です。これは親と子が協力して1本の住宅ローンを組み、世代を超えて返済を引き継ぐ仕組みです。本記事では、親子リレーローンの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、利用時の注意点まで詳しく解説します。
親子リレーローンとは?
「親子リレーローン」とは、親と子が連帯して住宅ローンを契約し、返済を親から子へと引き継ぐ仕組みのローンです。通常の住宅ローンは契約者本人の年齢を基準に返済期間が制限されますが、親子リレーローンでは「子の年齢」を基準に最長35年などの長期返済が可能になります。
親子リレーローンの仕組み
親子リレーローンは、金融機関によって細部は異なるものの、一般的には以下の流れで利用されます。
- 親と子が共にローン契約者となる (連帯債務の形態)
- 返済当初は親と子が収入を合算して借入額を決定
- 実際の返済は親が中心となる
- 親が高齢となった後は、子がそのまま返済を引き継ぐ
つまり「親子2世代でローンを支払っていく」というのが基本の仕組みです。
「親子リレーローン」と「ペアローン」の違い
住宅ローンには、似た仕組みとして「ペアローン」もあります。混同しやすいため、違いを整理しておきましょう。
| 親子リレーローン | 1本のローンを親子でリレーして返済していく。返済期間は子の年齢基準。 |
| ペアローン | 親と子がそれぞれ別々のローンを契約し、返済を同時に行う。借入額を増やしやすいが、契約が2本になるため諸費用も2倍近くかかる。 |
親子リレーローンは「一本化」されているため、シンプルでわかりやすいのが特徴です。
メリットとデメリット
メリット
親子リレーローンを利用することで得られる主なメリットは以下の通りです。
1. 借入可能額を増やせる
親と子の収入を合算できるため、より高額な借入が可能になります。理想のマイホームや土地を購入しやすくなる点は大きな魅力です。
2. 長期返済が可能になる
通常、住宅ローンは「完済時の年齢が80歳未満」などの制限がありますが、親子リレーローンなら子の年齢を基準に返済期間を設定でき、35年などの長期ローンが組めます。結果として月々の返済額を抑えられます。
3. 親から子への「住まいの資産継承」がスムーズ
親が契約者としてローンを開始し、そのまま子に引き継ぐため、家族で安心してマイホームを共有できます。特に二世帯住宅や実家の建て替えには適しています。
デメリット
一方で、親子リレーローンには注意すべきデメリットもあります。
1. 子の将来に返済負担が残る
親が高齢でリタイア後に返済を引き継ぐ場合、子のライフイベント (結婚・出産・教育費)とローン返済が重なる可能性があります。
2. 親子双方に返済義務がある
親子リレーローンは「連帯債務」の形態で契約するのが一般的です。そのため、どちらかが返済できなくなった場合、もう一方に全額返済の義務が生じます。
3. 相続発生時のリスク
親が亡くなった場合、団体信用生命保険 (団信)が親の部分にしか適用されないケースもあります。子が契約者として残っていると、返済負担が軽減されないことがあるため、契約条件の確認は必須です。
4. 利用できる金融機関が限られる
親子リレーローンは一部の銀行や住宅金融支援機構「フラット35」などで取り扱いがありますが、すべての金融機関で利用できるわけではありません。
親子リレーローンが向いているケース
親子リレーローンは以下のような状況に向いています。
- 親が50代以上で単独では返済期間が短くなる
- 子がまだ若く、将来の収入見込みがある
- 二世帯住宅を建てる、または親子で同居を前提にしている
- 親子で協力して「大きな家」や「好立地の土地」を購入したい
逆に「子が独立して別居する予定がある場合」や「子が将来どの地域に住むかわからない場合」には、慎重な検討が必要です。
利用時の注意点
親子リレーローンを検討する際には、以下の点に注意しましょう。
- 契約形態 (連帯債務・連帯保証)の違いを確認する
- 団信の適用範囲を必ずチェックする
- 親と子のライフプランをすり合わせる
- 子の将来のライフイベント (教育費や転職など)も見据える
- 金融機関ごとの条件を比較する
「親子リレーローン」と「フラット35」
住宅金融支援機構の「フラット35」では、親子リレー返済制度が用意されています。これは親子で返済を引き継ぐことを前提に最長35年のローンを組める制度です。固定金利で安心できる一方、返済負担の引き継ぎは子に残るため、やはり家族で十分な話し合いが必要です。
親子リレーローンは、親子で協力してマイホームを実現するための有力な手段です。
- 親の年齢に関係なく長期返済が可能
- 親子の収入を合算して借入可能額を増やせる
- 住宅資産を次世代にスムーズに引き継げる
といったメリットがある一方、
- 子の将来に返済負担が残る
- 団信の適用範囲に注意が必要
- 利用できる金融機関が限られる



